黒田さんの恋愛記録

東京在住アラサーOLが過去の恋愛の記憶をもとに恋愛物語を書きます。

2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

最初の恋愛20 完結

けたたましく鳴る携帯を、恨めしく見つめていた。 新しい日々へ歩みだそうとしているのに、また黒い狂気が襲ってくる。 だけど、本当に歩みだしたいなら、これでちゃんと終わらせなければ… 私は意を決して、電話を取った。 「もしもし…」 「電話してごめん……

最初の恋愛19

スーツ姿の先生に会うのは久しぶりだ。 私は、静かに、でも必死に探していた。私の憧れの先生を。 ぎこちない会話。 以前なら、あふれ出すように言葉が出てきていたのに、言葉を発するパワーが全くわかない。 「あおいちゃんのお望み通り、スーツ着てきたよ…

最初の恋愛18

先生の、私への想いを知ったその日から、私の中で何かが決定的に変わった。 それが何なのか、薄々気が付いていたが、その考えを否定しようと必死になった。でも、一度沸き上がった思いは消すことができない。 先生が、先生ではなくなってしまった。 普通の、…

最初の恋愛17

「私、先生の気持ちがわからない」 電話口で先生に告げた。 その日は、別の高校に通う親友の家に泊まっていた。その親友とは中学生のころからの付き合いで、私の家庭にいろいろと問題があったときも家族ぐるみでサポートしてくれて、心から信頼していた。私…

最初の恋愛16

じっとりとした暑さがやって来た7月。私は体調を崩していた。めまいがひどく、まともに歩くこともできないことがあった。何とか学校には通っていたが、早退することもしばしばあった。病院に行っても、疲れと気候の変化だろうということで原因はわからずじま…

最初の恋愛15

「先生、数学教えて」 これが、私の切り札だった。先生と生徒という関係を維持しつつ、先生に会う方法。だけど、いくら何でも異性の教師と生徒が学校外で会うことはリスクが高いということはわかっていた。最初のデートとこの前の雨の日、その2回だってもし…

最初の恋愛14

先生とのおかしな再会を果たした私は、一人暗い部屋に戻った。振られた人と何事もなかったかのように会って、ごはん食べて。私、何やってるんだろう。 先生には毎日会いたいと思っていたけれど、いざ会ってみて、こんな状況で、なんだかばかばかしくむなしい…