黒田さんの恋愛記録

東京在住アラサーOLが過去の恋愛の記憶をもとに恋愛物語を書きます。

2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧

最初の恋愛7

H先生へ想いを伝えることができなかった私は、抜け殻のように春休みを過ごした。当たり前に過ごしていた、先生との日々はあっけなく終わってしまったのだ。 先生がメールアドレスを書いてくれたプリントを眺めては、ため息をつく。 「辛くなったらいつでも連…

最初の恋愛6

春休み前の終業式の日。高校2年生最後の登校日。そして、H先生の特別授業が受けられる、最後の日。 その放課後、私はいつもの職員室前の自習机が満席だったので、空き教室で一人勉強をしていた。H先生は、他の生徒の指導中だったので、自分がいる場所だけ告…

最初の恋愛5

「私は、H先生のことが好きだ。」その頃の私は、そう確信し始めていた。「先生にもっと会いたい、もっと話したい。知らないことを教えてほしい。」私の毎日は、先生への想いでいっぱいになっていた。でも、それは「普通の恋愛」じゃないともわかっていた。先…

最初の恋愛4

H先生に会えない冬休みは退屈だ。早く学校が始まればいいのに、そう思いながら日々を過ごしていた。部活もしていなかった私は、毎日気乗りしない塾に通っていた。通信授業をテレビで見るだけで、特に面白くもない時間。「H先生が教えてくれればもっと楽しい…

最初の恋愛3

12月、冬休み前の終業式の日の放課後、いつものようにH先生に数学を教えてもらっていた。気づけば20時。辺りは暗く、職員室には私とH先生しかいなくなっていた。 「あー、もうこんなに暗くなってる!20時だ!先生遅くまですみません。もう帰らないと。」 外…

最初の恋愛2

初めて、H先生に数学を教えてもらって以来、私は毎日のように放課後職員室に通った。H先生とのマンツーマンの特別授業は長い時は2、3時間に及んだ。教科書の問題を一つ一つ丁寧にプリントの裏に図を描きながら教えてくれる。周りの生徒が言う「冷酷で怖い」…

最初の恋愛1

高校生のころ、私の最初の恋愛が始まった。 県内の進学校に進んだ私は、学年の成績はいつも1番か2番を取っているくらいガリ勉だった。高校2年生の秋、その日もいつものように、放課後職員室に向かう。一番苦手としていた数学について担当教員に質問するため…