黒田さんの恋愛記録

東京在住アラサーOLが過去の恋愛の記憶をもとに恋愛物語を書きます。

2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧

最初の恋愛13

あのメールを送ってから、先生からはもう返事は来ず、わたしは日常へ戻っていった。いや、戻ろうと意識していた。 普通に学校に行って、友だちとしゃべって、勉強して・・・ 先生のいなくなった毎日。その現実と向き合い、前に進むのに必死だった。でも、あ…

最初の恋愛12

早起きした朝。 田舎の朝は静かだ。今日は窓から山のきれいな緑がくっきりと見える。 落ち着いた気持ちで、携帯のボタンを押した。 「先生、ごめんね。私が自分の気持ちを言ったことで、先生をこんなにも困惑させて悩ませて。本当にごめんね。今思えば、私い…

最初の恋愛11

あんなにも涙が出てくることがあるのか。 自分でも不思議に思うくらいに、泣き続けた。 「この前はびっくりしたし、困惑して何も伝えられずにごめんね。俺自身、いろいろと考え、悩んでいた。まだ、今も悩んでいるんだけど、黒田さんもこんな感覚なんだろう…

最初の恋愛10

高校2年生、17歳のほぼ半分の時間抱き続けたその想いは、ついに外に放たれた。 途方もなく感じる沈黙の後で、先生がつぶやいた。 「・・・そうなんだ」 そう、なんだ…?なんとも意表をつかれた言葉が返ってきた。 本当のことを言うと、先生はもうとっくに私…

最初の恋愛9

2回目の先生とのドライブ。初めての助手席。 車が走り始めても、私の緊張は続いていた。先生は少し笑みを浮かべたような表情でハンドルを操作している。 「黒田さん、この曲知ってる?ミスチルの昔の曲なんだけど」 そう言われて、車内に流れている曲に気が…

最初の恋愛8

「日曜日、朝10時、迎えに行きます」 その文字を見た瞬間、時が止まった。日本語は読めるのに、意味がわからないという経験をしたのは初めてだった。 今日は金曜日。日曜日は二日後。そして、この文字を送ってきた人がその朝10時に私を迎えに来る…。そういう…