最初の恋愛1
高校生のころ、私の最初の恋愛が始まった。
県内の進学校に進んだ私は、学年の成績はいつも1番か2番を取っているくらいガリ勉だった。高校2年生の秋、その日もいつものように、放課後職員室に向かう。一番苦手としていた数学について担当教員に質問するためだ。クラスメイトと職員室に入ると、担当教員が不在。でも、テストに向けてどうしてもクリアしておきたい問題があった。
「ねえ、H先生に聞けば?今、空いてそうだし。」
どうしようかと困っていた私に、クラスメイトが言った。これがすべての始まりだった。
H先生は、臨時採用の数学教員で年齢は当時27歳。ほかのクラスを担当していたので、教えてもらったことも話したこともない。さらに悪いことに、生徒からの評判がとにかく悪かった。「冷たい」「面白くない」「気取っている」…。
「え、怖そうだからやだよ…。」と言ったものの、ガリ勉の私は背に腹は代えられないと思い、しぶしぶH先生に話しかけることにした。
「すみません…7組の黒田ですが、うちの担当の先生が不在なのでH先生に数学で教えていただきたい問題があるので聞いてもいいですか?」
「もちろん、喜んで」
”あれ、なんか、思ってたのと違う…”
その日から、私の職員室通いが始まる。数学を勉強するために。H先生と話すために。